ギブ・ベント
５００円にも満たない
日替わり弁当を
大事そうに持って僕は歩く
四角い容器が
変形しているのは
いつも僕が
温め過ぎてしまうからだ
※
“いい加減” が分からない
熱過ぎても冷た過ぎても
旨くはないと知っているのに
光が怖くなっていく
隅っこが心地よくなっていく
どんなに人を避けていても
自分から逃げることはできない
世界が狭くなっていく
言葉が鋭くなっていく
どんなに欲を抑えていても
空腹から逃げることはできない※
３８０円の
日替わり弁当が
未来の僕を形作っている
四角い部屋が
散らかっているのは
明日の僕に
期待をしているからだ
“いい加減” が分からない
近過ぎても遠退いても
上手くいかないと知っているのに
何かが壊れ崩れていく
一人が心地よくなっていく
どんなに孤独に生きていても
他人から逃げることはできない
癒えない傷が増えていく
言葉が凶器に変わってく
どんなに息を潜めていても
繰り返すこの呼吸は止められない
そんな “空っぽ” を満たすためだけに
僕は今日も食べている
そんなことをするためだけに
僕は明日も生きていく
※繰り返し